立て続けの会議の後、エレベーターに飛び乗り上層階へ。この天井の高い打ち抜きフロアは普段社内イベントなどに使われているが、今は誰もいない。ガラス張りの窓から差し込む陽射しに誘われ、しばらくここで仕事をすることにする。先ほどまでの語気語勢が幻のよう、静けさが心地よい。すると始まる耳鳴り、いや、常に鳴り続けているものが静けさゆえに知覚され始めただけなのだが。耳鳴りは知覚されると幻聴になる、しかし何かを始めるとどこかへ消えてしまう。いずれにせよ僕には今、静寂がない。